Manifesto

顧客創造を、もう一度
デザインする。

Three Plus Six LLC は、なぜ存在するのか。
代表 森浩昭が、自らの言葉で。
01 — Gap

世界はギャップに
溢れている。

これは、Three Plus Six LLC を起業した日から、私が書き続けてきた一文です。広告会社の経営者として 33 年を過ごした人間が、独立してこの会社を立ち上げたとき、最初に書きたかった言葉でした。

ギャップとは何か。それは、「あるべき姿」と「現実の姿」の間に横たわる、構造的な距離のことです。広告主とエージェンシーの間にも、戦略と実行の間にも、ブランドと顧客の間にも、長期的な意図と四半期の数字の間にも、ギャップは存在します。そしてそのギャップは、誰かが意識的に橋を架けない限り、決して埋まりません。

私が 33 年間の広告会社人生で学んだ最大のことは、おそらくこの一点に尽きます。ギャップを埋める以上の仕事をする人間が、決定的に足りないということです。

ギャップとは、構造の問題である。
そして構造は、外側からしか見えない。
02 — 33 Years

33 年の現場で
見てきたもの。

私のキャリアは、1990 年に博報堂に入社したところから始まりました。バブル崩壊の直前、広告業界がまだ華やかさの残滓の中にいた時代です。それから 33 年間、私は広告業界の内側で、さまざまな立場を経験してきました。営業、マーケティング、ブランドコンサルティング、グローバル案件のディレクション。途中、TBWA 博報堂中国の COO として中国広州に駐在し、最後の 5 年 9 ヶ月は McCann Erickson Tokyo の代表取締役CEOを務めました。

この 33 年間、私は数えきれない数の広告主企業と、数えきれない数のエージェンシーの仕事を見てきました。素晴らしい関係から生まれた素晴らしいキャンペーンも、不毛な関係に押しつぶされて消えていった卓越したアイデアも、両方を見てきました。

そして、ある時期から確信するようになったことがあります。広告主とエージェンシーの関係性そのものが、日本ではマネジメントされていない、ということです。

欧米の広告主企業には、エージェンシーとの関係を専門にマネジメントする独立系コンサルタントというカテゴリーが、この 30 年で確立してきました。専門ファームが、グローバル広告主の購買部門のパートナーとして、選定・運営・評価・契約・関係修復までを担っています。

ところが日本市場には、この機能が事実上存在しません。広告主は 3 社呼んでコンペをし、エージェンシーは無償提案で疲弊し、勝った 1 社は儀式化された期待値の中で疲れていく。誰も悪意がないまま、誰のためにもならない構造が、毎年繰り返されている。

私が 33 年間、内側から見続けてきたのは、この光景でした。

03 — Leaving

「やめる」という
選択。

McCann Erickson Tokyo の CEO を務めていた最後の数年間、私はしばしば自分にこう問いかけるようになっていました。

「私にできるのは、この大きな船の中で航海を続けることだけだろうか。」

大きな船には、大きな船の良さがあります。大きなクライアント、大きな予算、大きなチーム、大きな影響力。しかし、大きな船には、大きな船の制約もあります。船そのものの構造を変えることは、誰にもできない。船に乗っている限り、船の論理に従うほかない。

そして、ある時、私は気づきました。ギャップを埋める以上の仕事は、大きな船の中ではできない、と。なぜなら、ギャップとは構造の問題であり、構造を外から見るためには、まず船を降りなければならないからです。

2023 年 6 月、33 年の会社員生活を終えて、私は Three Plus Six LLC を起業しました。

船を降りるとは、
海を見るための視点を得ることである。
04 — 3 + 6 = 9

3 + 6 = 9 という名前
── ふたつの意味。

Three Plus Six という社名には、ふたつの意味が重ねられています。

ひとつめ ── 家族から始まった、無限の物語

ひとつめは、極めて個人的な由来です。

私の苗字「森」は、中国語の発音では「sān」、つまり「3」と近しいものになります。妻の苗字「劉(Liu)」は、その発音の構成から「6」を連想させます。3 と 6 を足すと 9。古来、東アジアにおいて 9 は、無限を象徴する数字とされてきました。

家族から始まった、無限の可能性。それがこの会社の、最初にして最も小さな出発点です。

ふたつめ ── テスラの法則と、第一原理から考えるということ

ふたつめは、もっと普遍的な意味です。

20 世紀最大の発明家のひとり、ニコラ・テスラは、生涯にわたって 3、6、9 という三つの数字に特別な意味を見出していました。彼が遺したとされる言葉のなかに、こんな一節があります。

「3 と 6 と 9 の偉大さを知れば、
宇宙への鍵を手にすることになる。」

テスラはこの三つの数字を、自然界の根本構造を理解するための鍵だと信じていました。彼の発想の特徴は、現象を表面的に観察するのではなく、最も根源的な法則まで遡って考えることにありました。現代の言葉でいえば、第一原理思考(First Principles Thinking)です。

そして 100 年以上経った今、その思考法を最も意識的に実践し、自社の名前に「テスラ」を冠した経営者がいます。イーロン・マスクです。

第一原理思考とは、物事をその構成要素の根本まで分解し、慣習や類推に頼らず、原理から組み立て直す思考法のことです。ロケットの値段が高いのは、ロケット業界が高いからではなく、原材料そのものを積み上げるとどうなるかから考える。マーケティング戦略がうまくいかないのは、ベストプラクティスが間違っているからではなく、その企業にとっての顧客創造の原理に立ち戻れていないからかもしれません。

Three Plus Six の社名は、家族の物語であると同時に、テスラの法則に倣って、第一原理から考えるという、私たちの仕事の流儀そのものでもあります。慣習を疑うこと。類推に頼らないこと。原理に立ち戻ること。そして、原理から構造を組み立て直すこと。3 と 6 と 9 という三つの数字は、私にとって、そのことを毎日思い出させてくれる小さな呪文です。

個人と普遍の重なり

このふたつの意味──家族の物語と、第一原理思考の宣言──は、私の中ではひとつのものとして共存しています。

私は、大きな組織からの離脱を、特別な決断としてではなく、家族規模で始める無限の物語として位置づけています。スケールではなく、深さで勝負する。スピードだけではなく、成長のために共に歩む。広く浅くではなく、狭く深く。これがブティック型ファームとしての Three Plus Six の意志です。

そして同時に、この小さな会社で扱う仕事のすべてを、慣習からではなく、原理から組み立てることを出発点にしています。借り物の方法論を持ち込むのではなく、その案件のためだけに、もう一度ゼロから構造を考える。3 と 6 を足して 9 になるという、誰にでもわかる小さな算術。その小ささの中に、無限と原理の両方を読み込むこと。これが、私たちの仕事のすべての出発点にある感覚です。

05 — Two Beliefs

ふたつの
信じるもの。

Three Plus Six には、信じるものが、ふたつあります。

ひとつは、「企業の目的は顧客の創造である」という、ピーター・ドラッカーの古典的な命題です。ドラッカーがこの言葉を書いたのは 1954 年、私が生まれるよりずっと前のことです。それから 70 年以上が経ちましたが、この命題は今もなお、いやむしろ今だからこそ、すべての企業活動の出発点として正しいと、私は信じています。

利益は目的ではなく、結果です。株主価値も目的ではなく、結果です。社会的価値も、ブランド価値も、エンゲージメント指標も、すべては結果です。出発点はただ一つ、顧客の創造にあります。誰かの未解決の課題を発見し、その人にとっての価値を生み出し、その対価として持続可能な事業を成り立たせる。すべてはここから始まります。

もうひとつ信じているのは、「価値は関係性から生まれる」ということです。

良い顧客は、良い関係性から生まれます。良いブランドは、良い顧客との良い関係性から生まれます。良いキャンペーンは、良い広告主と良いエージェンシーの良い関係性から生まれます。良いエージェンシーは、良い人と良い人の良い関係性から生まれます。

すべての価値創造の根底には、関係性のデザインがあります。そして、関係性は自然に発生するものではなく、意味を設計し、育て、修繕しながら、長い時間をかけて育てていくものです。

このふたつ──顧客の創造関係性のデザイン──が、Three Plus Six のすべてのサービスの根底にあります。CARD(Client-Agency Relationship Design)も、Strategy Sprint も、Open Platform Partnership も、すべてはこのふたつを、違うかたちで表現しているだけです。

顧客の創造は、
関係性のデザインを通じてのみ実現する。
06 — Open Platform

Open Platform
という働き方。

Three Plus Six は、自分たちだけで何かを作り上げるとは考えていません。むしろその逆です。Open Platform という考え方が、私たちの働き方の中心にあります。

ひとつのプロジェクトには、ひとつの広告主と、ひとりの私だけでは足りません。優れた戦略家、優れたクリエイティブディレクター、優れたメディアプランナー、優れたデザイナー、優れたエンジニア、優れたプロデューサー。それぞれの専門性を持った人間が、ひとつの目的のために、一時的に集まり、終わったら解散する。そういう柔軟なチーム構造が、現代の課題解決には不可欠です。

私の役割は、その Open Platform の指揮者です。広告主の側に立ち、最適なチームを編成し、プロジェクトの最初から最後まで責任を持つ。どの代理店にも、どの制作会社にも、どのテクノロジーベンダーにも、利害を持たない中立の立場から、案件ごとに最適な構造を組む。

これは、内側から 33 年間、組織の論理がプロジェクトの論理に勝ってしまう瞬間を見続けてきた人間にしか、なかなか難しい働き方かもしれません。組織を持たないこと、固定費を持たないこと、固定的なベンダーを持たないこと。これらすべての「持たないこと」が、Three Plus Six の自由の源泉です。

そして、その自由は、すべて広告主の利益のために使われます。

07 — Kawagoe

川越という
拠点。

私は、東京ではなく、埼玉県川越市を拠点に Three Plus Six を運営しています。

川越を選んだことには、いくつかの理由があります。ひとつは、故郷との関係を大切にしたかったから。ひとつは、東京の「速さ」の論理から少し距離を置いた時に見える、「客観性」の論理で仕事をしたかったから。そしてもうひとつは、川越という街そのものが持っている時間の流れが、ブティック型ファームの将来にふさわしいと感じたからです。

蔵造りの街並みが残る川越は、過去と未来が地続きになっている街です。古いものを壊さず、新しいものと適切な距離をとりながら、時間をかけて両方を共存させていく。この街の感覚は、Three Plus Six が目指す関係性のデザインのあり方と、共鳴します。

そして、川越から J リーグを目指す COEDO KAWAGOE F.C のオフィシャル・マーケティングパートナーを務めていることも、この拠点選びの自然な延長線上にあります。地域に根を下ろし、長い時間軸で価値を育てる。Three Plus Six のすべての仕事の根底に、この姿勢があります。

08 — Invitation

あなたへの
招待。

ここまで読んでくださったあなたが、もしどこかで「ギャップ」を感じている経営者、マーケター、購買部門の方であるなら、一度、私に話を聞かせてください。

Three Plus Six は、大きな船ではありません。しかし、私たちが引き受けた仕事については、最初から最後まで、一切の手抜きをしません。ひとつの関係を、無限に育てる。それがこの会社の、唯一の流儀です。

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Three Plus Six LLC / 代表 森 浩昭